新しくなった世界の価値観に、新しい技術を利用した、新しい建築を考えてみた
卒業年度の建築の学生の皆さんは卒業設計が始まる時期のようです。
うちにオープンデスクやインターンシップに来ている学生からも何人か相談を受けるようになりました。
昨年度、講師をしている学校で、2020年度の卒業設計に関わらせてもらいました。
建築にとって卒業設計は、今後の設計人生を周りに示すような大きな意味を持っています。普段の課題は問題を与えられ、この場所にこういう用途の建物を建てるという課題を与えられます。しかし卒業設計は課題を自由に決めて好きな建物を建てて良いという、問題から自分で決めないといけない大変さがあります。
実はこの問題を決めるというのが曲者なのです。
先生たちもわかっていないのが、この問題を決めるというのは建築の範囲ではなく、不動産や、まちづくり、経済的な部分などから来ることが多く、直接建築の主題である「形態」や「空間」と関わりが薄いことが多いと感じます。
なのに不動産の問題をこねくり回してしまう。その問題は建物を建てても解決しないのでは?とか、敷地と問題があっていないとか、学校に関係なく、どんな学生もそこで迷ってしまっているように見えます。
新しいと思える「形態」や「空間」をつくるために、問題を考えることができれば本当はいいのですが、なかなかうまくいかず、指導も悩ましいと思います。
ただ、去年はコロナという明らかに世界的で解決しなくてはならない問題が起きました。
こぞって、コロナに焦点を当てて設計を考えた学生も多いと思います。
しかし、消毒、換気、交わらない動線など、コロナに対応する建築的キーワードは多くあっても、なかなか形態や空間にまで発展できた作品は見られませんでした。
そん中、ある学生と一緒に関わらせてもらった設計があります。
スーパーマーケットを建てたいと考えていた学生に、ドライブスルーができるスーパーを考えました。敷地をどこからでも入れるようにして、一方通行で食料品や、衣料品を買っていけるスーパーマーケットです。
学生の設計であるのでここで詳しく説明するのは省きますが、一方通行で、すれ違わないための要件だったり、密室にしない作りであったりコロナに最適解を考えています。
極論を言えば、将来的にガソリン車は無くなっていくと考えています。高齢社会で、免許の返納が考えられているので当然かと思います。その代わり増えてくるのは電動バイクや電動キックボード、セグウェイに代表される、電動モビル。軽量であるので、事故を起こしても軽傷で済む可能性が強く、高齢化社会でなくてはならないものになっていくと僕自身考えています。
トヨタも車屋さんをやめて、未来の街を作る時代。また、amazonはamazon GOをつくって、ネット上だけではなく実際の空間でものを買うことができる空間を作っています。
コロナがきっかけで考えられた提案ですが、今後の展開に期待が持てる案ではないかと思います。バーチャルからリアルへの揺り返しが起きている現状で、コロナ後の一つの可能性としてドライブスルーのスーパーマーケットをリアルに考えてみるのはどうでしょうか?