資格試験は難しい
一級建築士試験の製図試験がそろそろの時期になりました。
今回は建築士試験について解説してみます。
普段だと7月の第4日曜日に学科試験 (2021年はオリンピックのため第2日曜日)
10月の第2日曜日に製図試験
となります。
また、合格率は例年だと 学科試験の合格率が18%前後 (2021年は15%)
製図試験の合格率が40%程度
となり、総合で、10%前後の合格率となります。
一級建築士の人数は2009年に33万人だったのが2019年に37万人と10%増えているように見えますが。実は亡くなっていても届け出がなく把握できていません。実際登録している人数は14万人となります。
20代は1300人
30代は15000人
40代は33000人
50代は37000人
60代が最も多く41000人
70代が11000人
80代が 1300人
となり50代以上が65%という資格になっています。
30代以下はわずか12%
資格合格の平均年齢は35歳程度なので、そこから上がってくるのはわかる気がしますが、それでも減少傾向にあるようです。
受験資格も実務7年以上とかなり厳しかったため、昨年から、減少傾向に歯止めをかけるために、受験資格が緩和されました。
それでも、取得できる時期は変わりませんでしたので、難関であることは変わりがありません。
実は他の国家資格と比べるのも面白いなと思います。
医師国家試験の合格率は 91.4%以上
司法試験の合格率は 41.5%
宅建の合格率は 15〜18%(その代わり受験資格はほとんどありません)
となっています。
一級建築士、実はかなり難関な試験です。
そしてお金の面でも一級建築士は不遇な資格だと思います。
実は宅建ではいくらもらって良いかが決まっていて、試験にも出ます。医師もポイント制で金額が決まっている。
建築士は国土交通省から決まってはいるのですが、それに準じて計算すると、普段の数倍になってしまうので、なかなか使うことができません。ともすると、国から受注する仕事さえ入札案件なので、タダ働きもしょっちゅうです。
ヨーロッパなど、文化を大事にする国では受注できなくても入札に参加するだけで、参加料をもらえるのが当たり前なのですが‥。 日本の入札は金額を見ることがほとんどのため、安く仕事をする人が仕事を受注します。
いい仕事をする人ではなく、安く仕事をする人が優遇される世の中です。
公共建築のクオリティが下がるのは当たり前なのです。
大学時代に先生が言っていましたが、
医師や弁護士は困った人を助ける仕事。建築士は幸せな人をさらに幸せにする仕事です。
切羽詰まった人が来る仕事と、余裕がある人が来る仕事
どうりで、一生懸命設計してプレゼンしても、では他と比較して‥ となかなか進まないわけです。
とはいえ、仕事としては人を幸せにできるということは素晴らしく、できたときの達成感や、文化を大事にしながら次に繋げられる仕事。やめられない仕事であることは間違いないので、
結局は、誰かが頼みたくなるような設計をするしかないのです。